2.中期経営計画の構造と期間
中期経営計画は前述の“戦略上位概念”を含む「全社戦略」、各事業の個別戦略である「事業戦略」およびR&D、マーケティング、人事・組織、財務など各機能の戦略となる「機能別戦略」で構成されます。
期間は、ビジョンと同様に3〜5年に設定してください。上場企業の中期経営計画で最も多いのは3年です。
3.プロジェクトの組成
本マニュアルではプロジェクト方式で中期経営策定を行います。全社戦略と事業戦略・機能別戦略ではプロジェクトの運営方法が異なるで分けて説明します。
■全社戦略
@事務局の設置
全社戦略策定は戦略上位概念を全社的な戦略課題に落とし込む作業なので、戦略上位概念策定プロジェクトと同じメンバー、同じプロセスで行います。よって、経営企画部や社長室などを事務局とします。事務局の主な仕事は以下のとおりです。
・プロジェクトメンバーの選定
・資料作成およびデータの収集
・プロジェクトミーティングの時間と場所の確保
・プロジェクトミーティングの司会・議事進行
・議事録の作成
Aプロジェクトメンバーの選定
次に、プロジェクトメンバーの選定を行います。メンバーは事務局が選定してトップマネジメントが承認する形がよいでしょう。
社長やCEOなどの経営トップおよび主要部門の長は必ずメンバーに入れてください。ただし、実践的な戦略課題の策定を行うので、社長やCEOなどのトップマネジメントは決定プロセスのみの参加でかまいません。また、メンバー数は事務局を除いて10人程度、多くても15人ぐらいまでにしてください。
■事業戦略・機能別戦略
@事務局の設置
事業戦略・機能別戦略策定は全社戦略を事業別・機能別に展開する作業です。それぞれが整合していないといけないので、全社戦略策定の事務局が各部門をコントロールしながら戦略策定を行うようにします。よって、全社戦略と同様に経営企画部や社長室が事務局となります。事務局の主な仕事は以下のとおりです。
・各部門の戦略策定責任者への上位概念・全社戦略の伝達
・各部門の戦略策定責任者への戦略策定プロセスの説明
・各部門の戦略策定プロジェクトミーティングへの立会い
・策定された事業戦略・機能別戦略策定と全社戦略の調整
A部門別戦略策定責任者の選出
事業戦略・機能別戦略策定の主体は事務局ではなく各部門です。よって、各部門では戦略策定責任者を決め、部門における事務局の役割を担当します。責任者は部門長の補佐的なスタッフが最適です。戦略策定責任者の主な仕事は以下のとおりです。
・戦略上位概念・全社戦略の部門内説明
・プロジェクトメンバーの選定
・資料作成およびデータの収集
・プロジェクトミーティングの時間と場所の確保
・プロジェクトミーティングの司会・議事進行
・議事録の作成
Bプロジェクトメンバーの選定
戦略策定責任者はプロジェクトメンバーの選定を行います。メンバーは責任者が選定して部門長が承認する形がよいでしょう。部門長および主要なセクションの長は必ずメンバーに入れて下さい。メンバー数は事務局を除いて10人程度、多くても15人ぐらいまでにしてください。
4.プロジェクトの進め方
■スケジュールについて
全社戦略、事業・機能別戦略を策定するのにそれぞれ30時間〜50時間(除く事前作業時間)を必要とします。散発的にプロジェクトを開催していると膨大な日数がかかってしまうので、1〜2泊程度の合宿を数回行い集中的に実施することをお勧めします。
■司会・議事進行について
プロジェクトミーティングの司会・議事進行は大変重要な役割になります。スケジュールに遅れが出ないよう計画的に議事を進めていくことはもちろんですが、最も重要な仕事は、プロジェクトメンバー全員の納得度、満足度を高めることにあります。
社長や部門長など影響力ある人間が参加するプロジェクトでは他のメンバーが遠慮して自由な発言ができなくなることがよくあります。これを放置してプロジェクトを進めると特定の個人だけの意見が結論となり、その他のメンバー全員が納得していないという状況に陥ってしまいます。
こうなると、その戦略はすでに失敗していると言えます。仮に実行しても良い結果が出ることはありません。実際、戦略失敗の原因が策定プロセスの過ちにあることはよくあることなのです。
それでは、どうすればメンバー全員の納得度、満足度を高めることができるのでしょうか。色々な手法がありますが、次の方法が効果的です・・・
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